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心臓リハビリテーションとは？
心臓リハビリテーションの対象となる疾患
心臓リハビリテーションの具体的なプログラム内容
リハビリの段階
心臓リハビリテーションは、多職種によるチーム医療で支えられています。
まとめ
わかりやすい解説：【心臓リハビリテーション】　トレッドミル・自転車エルゴメータの検査と運動について
心臓リハビリに関するよくある質問（Q&A）

 

● **「心臓リハビリテーション（心大血管リハビリテーションⅠ）」とは
明確な基準に基づき、心臓の病気からの回復と再発予防を目的とした医療プログラムです。**

心臓リハビリテーション

心臓リハビリテーションとは？

心臓病を治療して退院した後、「無理なく体を動かして大丈夫なの?」「退院後の暮らしはどうなるの?」といった不安を感じる方は少なくありません。そんな患者さんの疑問や不安を解消するために行われるのが**心臓リハビリテーション（心リハ）**です。

心臓リハビリテーションは、心臓病の患者さんが体力を回復し、自信を取り戻して快適な生活に復帰することを目的とした総合的なプログラム。さらに、病気の再発や再入院を防ぐことも目指しています。

以前は「心臓病になったら安静が一番」と考えられていましたが、科学的な研究から、適切な運動が心臓に負担をかけることなく、病気の原因となる動脈硬化の進行を抑えたり、息切れや疲れを軽減したり、さらには生命予後の改善につながることがわかっています。現在では、心臓病の患者さんが安全に運動療法を行うことが推奨されています。

ただし、病状に応じて運動の種類や強度を調整する必要があります。自己判断で行うのは危険ですので、専門スタッフの指導を受けながら心臓リハビリテーションに参加することをおすすめします。

 

心臓リハビリテーションの従来との違い

「目的」の拡大：
従来の医療が「生命を救う」「病気を治す」ことに重点を置いていたのに対し、心臓リハビリテーションは「病気があっても健康な人と同等の生活を送る」ことを目的とします。

包括的な介入：
運動だけでなく、患者教育や心理的なサポートなど、生活全体にわたる包括的な介入を行います。

「生命予後」への積極的なアプローチ：
単に病気を管理するだけでなく、心臓病の患者の生命予後（寿命）を延ばし、病気による制限なく生きることを目指す点で、従前医療との大きな違いがあります。

　　　　　　　　　　　　　

 

 

 

心臓リハビリテーションの対象となる疾患

心臓リハビリテーションは以下の病気に適応されます：

○心筋梗塞
○狭心症
○心臓手術後
○経カテーテル大動脈弁置換術後
○大動脈解離や解離性大動脈瘤、大血管手術後
○慢性心不全
○下肢閉塞性動脈硬化症などの末梢動脈疾患

健康保険の適用は通常150日間ですが、医師が必要と判断すれば延長される場合もあります。ただし、病状によっては運動療法が逆効果になることもあるため、必ず主治医に相談してください。

 

心臓リハビリテーションの具体的なプログラム内容

心臓リハビリテーションは、医師、理学療法士、看護師、管理栄養士などの専門スタッフが協力して、一人ひとりに合ったプログラムを提案します。

推奨される運動

○ウォーキングや自転車などの有酸素運動
　心臓に負担をかけず、病気の予防や体力向上に効果的です。

○軽い筋力増強運動（レジスタンストレーニング）
　無酸素運動（急激に力を発揮する運動）は心臓に負担をかけるため避けますが、適切な筋力トレーニングは心臓病の方にも有用とされています。

運動の安全管理

運動前・中・後には血圧や脈拍を測定し、体調に異常がないかを確認します。患者さん自身が脈拍を測定する習慣をつけ、自己管理能力を高めることも重視しています。

食事・生活指導

運動療法だけでなく、必要に応じて以下の指導も行います：

○栄養指導
○服薬指導
○禁煙支援
○カウンセリングや復職の相談

 

リハビリの段階

心臓リハビリテーションは患者さんの状態に応じて段階的に進めます。

1. 急性期プログラム（入院中）

治療後の早期離床を目指します。臥床姿勢から端座位・立位をとる練習や病棟内の歩行訓練、トレッドミルや自転車エルゴメーターを使った軽い運動を行いながら、栄養や生活指導も実施します。

トレッドミルや自転車エルゴメータの内容を
もっとやさしく知りたい方は、こちらの「わかりやすい解説」(ページ下部へ移動）をご覧ください。

2. 回復期プログラム（外来）

退院直後の不安や疑問に寄り添いながら、社会復帰に向けた体力の向上をサポート。個別面接、筋力トレーニング、有酸素運動、ストレッチなどを行い、運動習慣を身につけます。

3. 維持期プログラム（外来または在宅）

運動の習慣化を目指し、集団スポーツや季節ごとのウォーキングを行いながら、自己管理能力を高めていきます。病気への理解を深め、日々の生活の中で運動を続けられるようサポートします。

 

 

 

心臓リハビリテーションは、多職種によるチーム医療で支えられています。

心臓リハビリテーションは、運動を通じて体を回復させるだけでなく、**「生活全体を整えるためのチーム医療」**です。
医師や理学療法士をはじめ、看護師・薬剤師・栄養士・臨床心理士などが協力し、食事・お薬・気持ちのケアまでを一緒に考えます。
一人では不安な退院後の生活も、さまざまな専門職が力を合わせることで、無理なく続けられる回復を目指します。

 

　　　　

このように、心臓リハビリテーションは多くの専門職が連携し、チーム一体となって支えています。
患者さん一人ひとりの回復や生活に寄り添いながら、「安心して続けられるリハビリ」「再発を防ぐ生活づくり」を目指しています。
私たちは、チーム全体でより良い医療とサポートを提供してまいります。

 

私たち心臓リハビリテーションチームは、専門職が力を合わせて、患者さんの「これからの生活」を支えています。
「無理なく、安心して続けられる」ことを大切に、皆さまのペースに合わせたリハビリを提供しています。

 

 

まとめ

心臓リハビリテーションは、心臓病を患った患者さんの「どうすればいいの？」という不安を解消し、快適な生活へ復帰するための大切な一歩です。専門スタッフと相談しながら無理なく進めることで、再発予防や体力向上が期待できます。病気と向き合いながら安心して生活を送るために、ぜひ心臓リハビリテーションを活用してください！

 

【心臓リハビリテーション】　トレッドミル・自転車エルゴメータの検査と運動について

（わかりやすい解説と注記つき）

心臓リハビリテーション（心リハ）では、
心臓に負担をかけすぎない範囲で安全に運動するため、専門の検査機器を使って「心臓の働きを正確に知る」ことがとても重要です。

その代表的なものが
① トレッドミル（Treadmill）
② 自転車エルゴメータ（Bicycle Ergometer）
の2つです。

ここでは、それぞれの特徴や役割をわかりやすく紹介します。

 

　　　　　　

① トレッドミル（Treadmill）とは？

**“動くベルトの上を歩いて心臓の反応を見る装置”**です。
一般的には「運動負荷心電図」や「CPX（心肺運動負荷試験）」で使用します。

■トレッドミルの特徴

・実際に歩行・走行の動作に近い
・下肢を大きく使うため、心臓への負荷が段階的にしっかりかかる
・運動能力（持久力）の評価に適している
・ベルトの速度や傾きを少しずつ変えて、心臓の働きを観察できる

■どんな時に使う？

・心臓リハビリ開始前の運動能力評価
・狭心症や心不全の運動耐容能の確認
・心拍数・血圧・心電図の変化を安全にチェックしたい時
・運動メニュー（リハビリ内容）を決めるための基礎データとして

■トレッドミルの注意点

・転倒を防ぐため、安全ベルトやスタッフの手厚いサポートが必須
・脚に痛みがある場合、無理なく使えるか事前に確認が必要
・めまい・息苦しさを感じた場合はすぐに中止できる体制

 

 

　

② 自転車エルゴメータ（Bicycle Ergometer）とは？

**“座った姿勢でペダルをこいで心臓の反応を見る装置”**で、
心臓リハビリで最も一般的に使われる運動器具です。

■エルゴメータの特徴

・座ったまま運動できるため安全性が高い
・足腰に不安がある方でも利用可能
・強度（負荷）を細かく調整できる
・長時間の安定した運動がしやすい
・CPX検査（心肺運動負荷試験）にも使用できる

■どんな時に使う？

・心不全・心筋梗塞後のリハビリ運動
・高齢者や歩行に不安のある方の安全なトレーニング
・呼吸が苦しい方（座位だと呼吸が楽）
・運動習慣のない方の初期トレーニング

■エルゴメータの注意点

・姿勢が崩れると心拍数が変動しやすいため、
　（スタッフがこまめに姿勢をチェック）

・足の力だけで頑張りすぎないように調整
・ペダルの回転数が急に上がりすぎないように注意

 

【まとめ】それぞれの検査・運動には役割があります

装置	特徴	向いているケース
トレッドミル	歩行に近い動き・負荷が強くなりやすい	若い方、活動量が多い方、しっかり運動強度を見たい場合
自転車エルゴメータ	安全で負荷調整が細かい・座位で楽	高齢者、心不全、足腰に不安がある方、初期リハビリ

どちらも、
“あなたの心臓にとって最適な運動量を知るための大切な検査”
です。

これらの結果をもとに、専門スタッフが

○無理なく
○続けられて
○効果の高い
運動プログラムを作成します。

心臓リハビリは、
再発予防・体力回復・生活の質を上げるための最も効果的な治療のひとつです。
安心して取り組めるよう、スタッフがしっかりサポートします。

 

 

 

よくある質問（Q&A)

心臓リハビリテーション（心リハ）は、心臓病の患者さんが、体力や自信を取り戻し、快適な生活を送れるようにするための総合的なプログラムです。運動療法だけでなく、学習活動や生活指導、カウンセリングなども含まれます。

具体的には、心筋梗塞や狭心症、心不全などの心臓病を抱える患者さんが対象で、医師の指導のもと、運動療法や食事療法、生活習慣の改善などを行います。

心臓リハビリに関するよくある質問（Q&A）

Q1: どんな人が心臓リハビリテーションに参加できますか？

A1: 心臓リハビリテーションの対象となるのは、主に以下の心臓病を抱える患者さんです。

・急性心筋梗塞
・狭心症
・心臓手術後（開心術後、弁膜症手術後など）
・慢性心不全
・大血管疾患（大動脈解離、大動脈瘤など）
・末梢動脈疾患（閉塞性動脈硬化症など）
・経カテーテル大動脈弁置換術後（TAVI）

Q2: 心臓リハビリでは、どのようなことをするのですか？

A2: 心臓リハビリテーションでは、主に以下の内容を行います。

運動療法:
医師の指示に基づき、ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動を行います。心臓に過度な負担をかけないよう、段階的に運動強度を上げていきます。

生活習慣指導:
食事療法や禁煙指導、ストレス管理など、心臓病の再発予防につながる生活習慣の改善をサポートします。

服薬管理:
医師から処方された薬を適切に服用し、管理する方法を学びます。

心理サポート:
心臓病による不安やストレスを軽減するための心理的なサポートも行われます。

Q3: 心臓リハビリは、どのくらいの期間、通院する必要がありますか？

A3: 心臓リハビリの期間は、患者さんの状態や目標によって異なりますが、数ヶ月から1年程度通院するケースが多いです。退院後も、定期的に通院して運動療法や生活習慣の指導を受けることで、心臓病の再発予防や健康維持を目指します。

Q4: 心臓リハビリを受けることで、どのような効果がありますか？

A4: 心臓リハビリテーションを受けることで、以下のような効果が期待できます。

・心臓の機能回復と強化
・心臓病による死亡率や再入院のリスクの低下
・運動能力の向上
・生活習慣病の改善
・生活の質の向上（QOL）

Q5: 心臓リハビリに関する疑問や不安は、誰に相談すれば良いですか？

A5: 心臓リハビリに関する疑問や不安は、まずは担当の医師や看護師に相談してください。また、心臓リハビリテーション学会のウェブサイトでも、様々な情報を提供しています。

その他:

○心臓リハビリテーションは、保険適用で受けられる場合と、自費診療となる場合があります。詳しくは、お問い合わせください。

○心臓リハビリテーションは、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、オーダーメイドでプログラムが作成されます。

○心臓リハビリを始める前に、必ず医師の診察を受け、運動の可否や適切な運動強度を確認しましょう。